板状コランダムの多孔度が低いほど良いのでしょうか?

板状コランダムの多孔度が低いほど良いのでしょうか?

板状コランダムの気孔率は 「低いほど良い」という絶対的なものではなく、 具体的な用途シナリオとコア性能要件に基づいて総合的に判断する必要があります。気孔率は、材料の熱伝導率、強度、耐食性といった重要な指標に直接影響を及ぼし、気孔率に対する要件は用途によって大きく異なります。

1. まず、明確にしておきたいのは、板状コランダムの「多孔度」とは何でしょうか?

板状コランダムは、高純度α-アルミナ(Al₂O₃)を高温で焼結させた耐火材料です。一定量の気孔(開気孔と閉気孔を含む)を有しています。気孔率は通常、「体積気孔率」、つまり材料の総体積に占める気孔容積の割合を指し、微細構造の緻密さを測る主要な指標の一つです。

2. 「低多孔性」の利点: どのようなシナリオで低多孔性が必要になりますか?

耐食性、強度、そして場合によっては低熱伝導率といった高い要件が求められる用途では 、低多孔性の板状コランダムがより有利です。典型的な用途としては、以下のようなものがあります。

 

  • 鉄鋼業界:取鍋およびタンディッシュのライニング煉瓦/キャスタブル
    溶鋼とスラグは非常に腐食性が高いです。低気孔率は、材料内部の「チャネル」が少ないことを意味し、スラグの浸透と溶鋼の侵食を低減し、ライニング煉瓦の耐用年数を延ばします。同時に、低気孔率は材料の室温および高温強度を向上させ、高温における緩い構造による剥離を防止します。
  • 非鉄金属製錬:精錬炉および電解セルのライニング
    溶融した非鉄金属(アルミニウム、銅など)および電解液は、浸透しやすい性質があります。低気孔率は「浸透腐食」のリスクを低減し、材料の耐熱衝撃性を向上させます(気孔による熱応力集中を最小限に抑えます)。
  • 高温窯:高温焼成ゾーン用耐火レンガ
    低多孔性材料は緻密性が高く、1700℃を超える高温負荷に耐えることができ、高温時の体積収縮が低減(再焼成収縮が低い)するため、窯の構造的安定性が確保されます。

3. 「高多孔性」の必要性:低多孔性が不適切なシナリオはどのような場合ですか?

耐熱衝撃性、断熱性、通気性が求められる用途では 、緻密性が高すぎる(気孔率が低すぎる)と不利になります。このような場合、中程度から高い気孔率を持つ板状コランダムが適しています。

 

  • 高い耐熱衝撃性が求められる用途:窯の扉や急速加熱・急冷を受ける部品
    。低多孔性材料は高い熱伝導率を有します。高温下での加熱と冷却を繰り返すサイクルでは、内部と外部の大きな温度差によって大きな熱応力が発生しやすく、材料に亀裂が生じやすくなります。一方、中程度から高い多孔性(通常15%~25%)の材料は、細孔を通して熱応力を「緩衝」し、耐熱衝撃性を向上させます(例:窯焼き入れゾーンのライニングレンガ)。
  • 断熱シナリオ:高温窯の断熱層
    では、気孔(特に閉気孔)が熱伝達を阻害します。高気孔率の板状コランダム(軽量骨材と混合されることが多い)は熱伝導率が低く、断熱性能に優れています。低気孔率の材料を使用すると、窯からの放熱が急速になり、エネルギー消費量が増加します。
  • 通気性が求められる用途:フィルター材料と通気性レンガ
    非鉄金属溶融塩の濾過やガス吹込みによる溶鋼撹拌などの用途では、材料には一定の通気性が必要です。この際、流体の漏れのない通過を確保するために、気孔率は適切な範囲(例:20%~30%)に制御する必要があります。気孔率が低いと、通気性のあるチャネルが直接閉塞してしまいます。

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